コロナワクチン副反応調査レポート2
医局秘書アルーナの報告
皆さまお疲れ様です。
村山医療センターで新型コロナウイルスに対するワクチンの先行接種が行われてから早3か月経過しました。国内では高齢者の接種が着々と進行しておりますが、これから接種をうける方々の不安を少しでも軽くできるよう、当院での状況を報告していきたいと思います。
第1回ではワクチン接種後の副反応の発生状況を報告させていただきましたが、村山医療センターでは、多施設全体の研究報告よりも、発熱の頻度が高かったことが分かりました。
今回は第2回として、ワクチン接種後の副反応の性差、年齢差を報告させていただきます。
新型コロナワクチンの効果と副反応
- 第2回 ワクチン接種後の副反応について -
治験管理室 我妻亜由美 沼田成美 松下愛美 葛岡朋代 臨床研究部長 吉原愛雄
①性別による副反応の発現率の違い
男性 | 女性 | |
発熱* | 53.50% | 50.00% |
頭痛 | 40.70% | 61.20% |
倦怠感 | 72.10% | 82.90% |
疼痛腫脹 | 83.70% | 89.50% |
内服** | 46.50% | 52.60% |
* : 37.5℃以上
** : カロナール(アセトアミノフェン)
を内服した者の割合。
●厚生労働省に提出された大規模調査の中間結果1) では、発熱・頭痛・倦怠感・注射部位疼痛の発現は、全て女性の方が高率と報告されている。
●当院の結果では、発熱の発現率はむしろ男性の方が高かった。
●その他の副反応の発現率は女性が高い傾向を認め、特に頭痛の発現率の性差は顕著で、有意差が認められた(p<0.01)。
②年齢別による副反応の出現率の違い
●大規模調査の中間結果1) では、発熱・頭痛・倦怠感の発現率は加齢に伴い低下すると報告されている。
<発熱 37.5℃以上>
●20代の59.6%をピークに、加齢とともに低下する傾向が認められた。
<頭痛>
●40代が67.2%と最も高率であった。
●40代を除き、加齢とともに発現率は低下する傾向を認めた。
<倦怠感>
●20代から40代の発現率は7割以上と高率であった。
●50代以上の発現率は65.5%と低く、50代未満の発現率と比較すると有意差が認められた(p<0.05)。
<疼痛腫脹>
●すべての年代において発現率は8割以上と高率であった。
年齢との関連は認めなかった。
③ 年齢別の内服薬(カロナール)の使用
●加齢とともに、内服率は低下していた。
50代以上の方の内服率は31.0%と低く、他の年代に比較して有意差が認められた(p<0.05)。
■自由記載より一部抜粋
・「動くことがつらかったので、買い物など事前に準備をしておけばよかったと思う。」
・「夕方仕事後に発熱、倦怠感の症状が強くでた。」
・「国民に副反応を周知する必要あり。」
・「熱は出なかったが、頭痛や倦怠感でも内服すると楽になると聞いて、悩まず内服できた。」
・「1日で落ちつくはずと分かっていたから頑張れた。」
【まとめ】
- 今回の結果から性別、年齢によっても副反応の出現率に違いがあることがわかった。
- 厚生労働省の報告1) と同様、副反応の発現率は、全般的には女性>男性であったが、当院では発熱の性差は認めず、頭痛の性差が顕著であった。
- 同様に、年齢別の発熱、頭痛、倦怠感の発現率では、青壮年>中高年の傾向が認められたが、当院では頭痛の発現率は40代が最も高かった。
- ワクチン接種特有の副反応を正しく理解していくことが大切である。
- <参考>
1)新型コロナワクチンの投与開始初期の重点的調査(コホート調査)の中間報告(5) (https://www.mhlw.go.jp/content/10601000/000775324.pdf)